工事再開緊急抗議(10月14日)

泡瀬の前川

2011年10月14日 18:01

14日の緊急抗議行動の報告です。






http://www.awase.net/maekawa/20111015kougizenbu.pdf

緊急抗議行動 2011 年10 月14 日 泡瀬干潟を守る連絡会
日程
8 時~8 時45 分、抗議行動、仮設橋梁前
(移動、中城湾港出張所前)
9 時~9 時15 分、抗議行動(シュプレヒコールを中心に、小橋川
共男)、中城湾港出張所前
(移動、熱田漁港)
10 時~12 時、船による監視行動(抗議行動)
(13名、船1隻)

抗議行動
司会:屋良朝敏
1. 経過:前川盛治(泡瀬干潟を守る連絡会・事務局長)
2. 抗議表明
小橋川共男(共同代表、開会あいさつ)
亀山統一(日本科学者会議沖縄支部)
桑江直哉(市会議員)
武田隆雄(日本山妙法寺)
伊波義安(沖縄生物多様性市民ネットワーク)
漆谷克秀(共同代表、閉会あいさつ)
3. 抗議文
読み上げ:當間秋子
採択(司会)、抗議文は国(沖縄総合事務局、沖縄担当
大臣、国土交通大臣)に送付
4. シュプレヒコール(前宮美津子)
○ 工事再開を撤回せよ
○ 合理性のない工事再開を許すな
○ 世界の宝・泡瀬干潟を守ろう
○ 大震災の教訓を無視する埋立工事を即時中止せよ
○ 津波対策のない工事は、即時中止せよ
○ 浚渫土砂の投げ捨て、許すな
○ 貴重な干潟・浅海域を守ろう
○ 貴重な干潟・浅海域を子々孫々まで残そう
○ 泡瀬裁判の判決まで、工事は中止せよ

経過 概略 前川盛治(泡瀬干潟を守る連絡会・事務局長)
● 2008 年11 月19 日、地裁判決
● 2009 年9 月、民主党政権発足、1 区中断・2 区中止、10 月前原大臣、
東門市長との面談(採算性があるのか?)
● 2009 年10 月15 日、高裁判決、確定10 月30 日
● 2010 年7 月30 日、沖縄市案突如の発表、8 月3 日前原大臣承認
東門市長、民主党政権の裏切り
● 2011 年3 月3 日、中央港湾審議会、一部変更承認
審議会が11 日後であれば、おそらく「承認されなかった」
● 3 月11 日、東日本大震災
● 5 月~6 月、変更手続き告示・縦覧
地震・津波対策無し、地盤高下げられる
沖縄市議会、埋立変更同意決議(6 月13 日)
●7 月16 日、県版棚卸し、新港地区整備に「不要3 委員(全体8 名)」
● 7 月19 日、埋立変更許可・承認
● 7 月22 日、第二次泡瀬訴訟(原告276 名)
● 7 月末、琉球新報、沖縄タイムス、社説で工事着工に疑問
● 7 月29 日、「公共事業監視委員会」、災害対応に疑問、費用対効果問題
● 8 月5 日、日弁連、事業中止の意見書
● 8 月25 日、沖縄弁護士会、事業中止の会長声明
● 県地震・津波想定検討委員会、海抜5m は最低浸水域泡瀬地区、埋立地は「浸水域」
● 9 月26 日、環境監視委員会、監視計画不備指摘の意見多数工事着工(9 月末)遅れる
● 10 月13 日、国工事再開表明、14 日再開(浮標灯設置工事)
世界のうちなーんちゅ大会にあわせる?アイフォン4Sの発売日?
工事着工を「目立たせない」作戦?
● 14 日の工事再開は「浮標灯設置工事」(いわゆる事前準備工事)
本命の「浚渫工事」は隠している(11 月中に着工?)

【採択した抗議文】
泡瀬干潟・浅海域の埋立工事再開に抗議し、工事の即時中止を求める
沖縄市の泡瀬沖合埋立事業(東部海浜開発事業)に基づく、泡瀬干潟・浅海域埋立事業が、今日10 月14 日から再開された。しかし、この事業は、以下に述べるように、合理性もなく、緊急性もない。このような無駄な公共事業によって国際的にも貴重な自然環境を破壊することは断じて許されない。
私たちは、工事再開を強行する国に対し強く抗議し、以下のことを求める。

1. 国は、中城湾港泡瀬地区埋立事業の工事を中止せよ。
2. 現在、埋立中止を求める裁判(第二次泡瀬干潟埋立公金支出差し止め訴訟)が提起されているが、工事再開を強行し既成事実を積み上げていくことは許されない。少なくとも、裁判の決着がつくまで工事は中断せよ。
以下その理由である。
《沖縄市の新たな土地利用計画に経済的合理性はない》
1. 規模が縮小した(187ha→95ha)だけで、その内容は経済的合理性がないという判決が確定した旧案と大差ない。
2. 需要予測が過大であり、科学的根拠がないペテン・トリックである。
1)施設規模に対する需要を約327 万人(延べ人数、平成30 年)と推計しているが、沖縄の有名な観光地である首里城180 万人、海洋博公園220 万人(平成21 年度)を上回る想定は、余りにも現実離れしている。観光客数の予測も、観光客数の激減の現状を無視するものであり、それを基にした様々な需要予測は成り立たない。
2)ホテル、コンドミニアム、コテージ進出希望の企業は2 社のみ。これも意向であり確定ではない。
3)商業施設や健康医療施設での進出希望企業はない。既に周辺にはショッピングセンターが乱立している。
さらにアワセゴルフ場跡地など沖縄市周辺には大型SC 建設が今後も予定されており、まさに「パイの奪い合い」になっている。
4)多目的広場、展示、交流(スポーツコンベンション施設)は、毎年1.8 億円の赤字を産む施設。全体が順調でも毎年2.2 億円の赤字である。周辺の運動施設、商業施設とも競合する。
《新計画は、災害防止対策がない》
1. 東日本大震災という悲惨な体験をした私たちは、この教訓を生かさなければならない。しかし、新計画は、埋立地の液状化や津波被害に十分対応できるものとはなっておらず、埋立免許変更申請においては、地震、津波、高潮、台風、集中豪雨などの自然災害について、防災対策が示されていない。しかも埋立地盤高が、国事業で20cm、県事業で1m も下げられている。
2. この夏の台風でも、埋立予定地の護岸が至る所で破損し、外海に土砂が流出するなど、埋立予定地内外の動植物への被害が広がっている。
3. 泡瀬地区は、台風や大雨により度々浸水などの被害に見舞われており、津波被害の心配も大きい。泡瀬地区は海抜5m 以下の所も多く、浸水地域の心配もある。
4. 泡瀬干潟・浅海域の埋立は防災上も問題が大きく、沖縄市は、干潟の埋立に税金を使うのではなく、泡瀬地区の浸水対策など、市民生活の安全・安心に税金を使うべきである。
《新港地区東埠頭浚渫土砂処分場造成としての泡瀬埋立に緊急性、合理性はない》
1. 特別自由貿易地域(FTZ)構想は既に破綻している。FTZ 用地の民間への分譲率は僅か2.1%であり、年を重ねても変化がなく、空き地だらけである。最近ではFTZ とは全く関係のないIT 企業などの誘致が始まっている。
2. 新港地区には既に立派な西埠頭があるが、定期船がないためほとんど利用されていない。ここに立地する企業で構成する新港地区協議会は、定期航路の創設や西埠頭へのガントリークレーンの設置などを国や県に要請している。東埠頭の浚渫は優先課題ではなく、その必要性はない。
《埋立再開で貴重な自然環境が破壊されることは国際社会での責務に反する》
1. 新しい土地利用計画では干潟の98%が保全されるとしているが、干潟とそれに続く浅海域は一つの生態系であり、既に1 期工事の影響で2 区の自然環境も悪化している。
2. 泡瀬干潟は、生物多様性、自然資源、教育、観光、レクリエーションなど、多様な価値を持っている。ラムサール条約の登録候補地にもなっており、今年3 月には環境省から「埋立は可能な限り回避するよう」指摘されている。
3. 今回の公有水面埋立免許変更申請では、埋立面積が半減し土地利用計画が変更されたことから、新たに正当な環境アセスメントを行わなければならない。しかし、環境への影響は軽微とした過去の不十分で科学性を欠いたアセス結果を引用するだけで済ませている。泡瀬干潟が持つ地球レベルの価値について言及していない埋立免許変更申請には、合理性も正当性もない。1 区の護岸内はまだ生きた海であり、外海と海水の交換があるが、今度の埋立は「空気圧送船による揚土」であり、死の海になり、外海への汚染が拡がる恐れがあるのに「汚濁防止膜」も使わない埋立になっている。
4. 第10 回生物多様性条約締約国会議では「愛知ターゲット」が採択され、議長国日本はその実現に大きな責任を負っている。海域の生物多様性の保全は、国際社会では大きな責務となっており、政府と自治体は率先して行動しなければならない。泡瀬干潟・浅海域埋立工事の再開は、国際社会での責務に大きく反する。
《新政権は、民主的手続きを無視した再開決定を撤回し、泡瀬干潟埋立中止の公約を守れ》
1. そもそも2010 年8 月の泡瀬干潟埋立再開の決定が、情報公開、住民参加、合意形成の一連の民主的手続きが欠落したものであった。
2. 当時の前原大臣は、新たな計画について沖縄市や有識者と協議してきたと述べているが、その過程はまったく知らされず、密室の協議の中で埋立再開が決定された。
3. 東門市長は市長選の際に、地元の四政党と「経済的合理性がないときは推進しない」という協定を結んでおり、沖縄市民の多くは、その協定を信じて東門市長に投票したのである。経済的合理性について、四政党や市民、環境団体と何の協議もしないままに、大臣の承認を取り付けたことは、選挙民への裏切り行為と言わざるを得ない。
4. 民主党政策集index2009 において、泡瀬干潟埋立事業を一例としながら環境負荷の大きい公共事業の見直しや中止を主張していること、特に干潟やサンゴ礁について保全を図るとしていること、また「コンクリートから人へ」という政権交代の理念は、国民との約束である。前原大臣による埋立再開決定はこれを裏切るものであったが、新政権は、政権交代の原点に立ち返り、泡瀬干潟の埋立事業を中止しなければならない。
《現在、埋立中止を求める裁判(第二次泡瀬干潟埋立公金支出差し止め訴訟)が提起されているが、工事再開を強行し既成事実を積み上げていくことは許されない。少なくとも、裁判の決着がつくまで工事は中断しなければならない。》

以上、国による工事再開に強く抗議し、工事の即時中止を求める
2011 年10 月14 日 緊急抗議集会

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